いよいよ確定申告の時期ですが、今年のポイントを教えてください。
まず、今年の確定申告の大きなポイントの一つとしては、定率減税の半減というものが挙げられると思います。これまで算出税額の20%、所得税で最高25万円、住民税で最高4万円を限度として適用されていた定率減税が、平成18年度は半減してしまうということです。この定率減税は、今年が最後で来年はなくなってしまいます。昨年は老年者控除の廃止、一昨年は配偶者特別控除の二重適用(配偶者控除との)廃止と、納税者にとって一貫して増税の傾向が続いています。
青色申告のメリットは何ですか?
青色申告承認申請書を提出している事業者の方は、損益計算書の他に、複式簿記によって作成した「貸借対照表」を添付すれば、65万円の「青色申告特別控除」を受けることができます。これは大きいので、貸借対照表の作成も忘れないでいただきたいと思います。貸借対照表が添付されていない場合は、10万円のみの控除となりますから。
次に、所得控除の計算について教えてください。
はい。たとえば青色申告者の事業所得なら、収入金額から必要経費を引き、青色事業専従者給与と青色申告特別控除額を控除して、事業所得の金額を計算します。そこから所得控除の合計額を控除して課税所得を計算します。その所得控除については14種類ありますので、しっかり活用していただきたいですね。家族の中のだれから控除するかも、慎重に検討すべきところです。扶養控除や社会保険料控除は夫から控除するか、妻から控除するかなどで、納める税金も違ってきます。ポピュラーな医療費控除などは、控除対象となる医療費の額などにかなり注意が必要ですし、医療費が10万円を超えていなくても控除できる場合もあります。
それから税額控除では、住宅取得控除の適用がある方は忘れないで申告してください。
それから税額控除では、住宅取得控除の適用がある方は忘れないで申告してください。
なるほど。この頃、インターネットによる電子申告をする人が増えていますが。
インターネットで申告をする電子申告が、所得税でも昨年から始まりましたね。国は電子申告を普及させるための政策を次々と打ち出しています。たとえば、税理士に電子申告を依頼したときは、税理士の電子署名と納税者の識別番号・暗証番号のみでOKとなり、納税者の電子証明書は不要となりました。また還付を受ける場合、申告から還付までの期間が約半分になります。
それから、来年と再来年いずれかの年に電子申告を行うと、5,000円の税額控除を受けることができます。これは来年からですが、電子申告を行う場合は、今まで提出が必要だった医療費の明細など、添付しなくてよくなり、3年間の保管が義務付けになるのみです。
それから、来年と再来年いずれかの年に電子申告を行うと、5,000円の税額控除を受けることができます。これは来年からですが、電子申告を行う場合は、今まで提出が必要だった医療費の明細など、添付しなくてよくなり、3年間の保管が義務付けになるのみです。
便利になりますね。この時期だからこそ、やっておくべきことは何かありますか?
そうですね、個人事業や不動産賃貸を営んでいらっしゃる方は、一年間の事業の反省と、来期の年間の事業計画、設備投資計画を立てるいい機会になると思います。この時期がもっとも数字や税金に意識が集中する時期ですからね。確定申告の時期をこのような事業の見直しのよい機会と捉えることも重要です。また、前年の数値との比較分析も怠らないでください。経営の重要な指標ですし、税務署も前年対比でチェックを行っているようです。
松村先生、どうもありがとうございました。