経営事項審査制度
2011/11/9
この制度は、公共工事を受注しようとする(建設工事入札に参加)建設業者を、建設業法に基づいて国土交通大臣又は都道府県知事が、その業者の規模や財務内容など経営に関する事項について審査し数値によって評価を行う制度です。
総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W
[参考総合評定値:最高点2,134点、最低点281点]
① 工種別平均完工高X1
経営規模を表す指標の1つで、許可を受けている建設業法上の業種(28業種)に区分した直近2・3年の平均完成工事高です。
大きい方がいいです。総合評定値に対して25%のウエイトです。
② 自己資本額及び平均利益額X2
自己資本額点数と平均利益額点数とを加えた数値を2で除して評点を求めます。
自己資本額は純資産合計の額です。平均利益額は償却前営業利益です。
大きい方がいいです。総合評定値に対して15%のウエイトです。
③ 経営状況分析Y
総合評定値に対して20%のウエイトです。
1) 純支払利息比率
支払い利息は少ない方がいいです。受取利息は多い方がいいです。
2) 負債回転期間
負債は少ない方がいいです。
3) 総資本売上総利益率
無駄な資産は売却又は廃棄処分しましょう。粗利益率は高い方がいいです。
4) 売上高経常利益率
経常利益とは営業利益に雑収入・支払利息等を加減した後の利益です。
大きい方がいいです。
5) 自己資本対固定資産比率
固定資産は借入金に頼らず自己資金で購入できた方がいいです。
6) 自己資本比率
自己資本は大きい方がいいです。
7) 営業キャッシュフロー
・経常利益は大きい方がいいです。
・工事売上代金の回収は早い方がいいです。
・材料代、外注代の支払いはちょっと遅い方がいいです。
・在庫は少ない方がいいです。
・前受金は多い方がいいです。
8) 利益剰余金
毎年納税しながら、利益を積み上げていった方がいいです。
④ 技術力Z
技術職員数の点数を4/5したものに、工種別元請完成工事高の点数を1/5したものを加えて評点します。
1級監理受講者 6点、1級技術者 5点、基幹技能者 3点、
2級技術者 2点、その他の技術者 1点
元請工事が多い方がいいです。
総合評定値に対して25%のウエイトです。
⑤ その他の審査項目(社会性等)W
総合評定値に対して15%のウエイトです。
1) 労働福祉の状況
[減点評価される場合]
・雇用保険の未加入
・健康保険及び更生年金保険の未加入
[加点評価される場合]
・建設業退職金共済制度への加入
・退職一時金制度又は企業年金制度の導入
・法定外労働災害補償制度への加入
2) 建設業の営業年数
10年 10点、20年 30点、30年 50点、35年以上 60点
3) 民事再生法又は会社更生法の適用の有無
民事再生法又は会社更生法の適用があった場合 -60点
4) 防災協定締結の有無
国、特殊法人等又は地方公共団体との間で災害時の防災活動等について定めた防災協定を締結している場合 15点
5) 法令遵守の状況
審査対象年に建設業法第28条の規定により指示され、又は営業の全部若しくは一部の停止を命ぜられたことがある場合
・指定された場合 -15点
・営業の全部若しくは一部の停止を命ぜられた場合 -30点
6) 建設業の経理に関する状況
建設業の経理に関する状況の点数は、監査の受審状況及び公認会計士等数の点数の合計として求めます。
[監査受審状況の点数]
・会計監査人の設置 20点
・会計参与の設置 10点
・経理処理の適正を確認した旨の書類の提出 2点
[公認会計士等数の点数]
・公認会計士等の数(登録経理試験1級合格者を含む) 1点
・登録経理試験2級合格者の数 0.4
7) 研究開発の状況
研究開発費が多い方がよいです。ただし、会計監査人設置会社において、会計監査人が当該会社の財務諸表に対して、無限邸適正意見又は限定付適正意見を表明している場合に限ります。
8) 建設機械の保有状況
1台につき1点
建設機械とは、建設機械抵当法施行令別表に規定するショベル系掘削機、ブルドーザー及びトラクターショベルです。審査基準日から起算して1年7か月以上の使用期間が定められているリース建設機械を含めることができます。
9) 国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
ISO第9001号の登録 5点
ISO第14001号の登録 5点
同上両方の登録 10点
経営事項審査は、何より全国何万社の建設業社と比較出来る統合的な経営指標を得られます。この指標から経営改善に役立つ視点も見つけられるかもしれません。
各評点アップには、是非税理士に相談してみて下さい。
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宮崎一博
税理士