「将来、こんな会社にしたい」「事業をこう育てていきたい」――。起業するときには、誰しもそんな夢や希望を抱くはず。しかし、がむしゃらに働くだけでは、それを実現するのは難しそうです。数多くの社長を「ビジネス・パートナー」として支えてきた中野竜爾先生(中野会計事務所)が強調するのは、「計画性を持つことの大切さ」。その極意をうかがいました。
事業の成長に寄与する「計画性」とは?
どうやって具体化すればいいのか?
2020/3/18
夢に期限を付ければ計画になる
そこには、従業員や取引先、お客さま、さらには家族や地域なども含めたステークホルダー全体を見渡したマネジメントが、必要になるわけです。職人型が間違っているというのではなくて、それをベースに起きながら、同時に「経営者感覚」を持たないと、会社の持続的な成長はなかなか難しいと思います。
この話をするときに、私はよく「ロケット理論」を引き合いに出すんですよ。アポロ11号が月に行けたのは、なぜか? それは、時の大統領、ロバート・ケネディが「10年以内に人間を月に送る」と目標を明確に設定し、その実現のために今何をやるのか、という方法論を具体化していったから――というロジックです。
恥ずかしながら、この話を初めて聞いた若かりし頃、私は、会社経営には当てはまらない「空論」だと感じていました。目の前にある課題を1つひとつ解決し、実績を積み上げていってこそ月に行けるのだ、と。しかし、多くの経営者のお手伝いをする中で、それは違うということに気が付きました。5年先くらいの数値目標を定め、その達成のために今年1年でやり遂げることを具体化していくというのは、中小企業経営にも十分通じる理論だと再認識したのです。
経理は決算や申告のためにあるのではない
でも、考えてほしいのですが、経理に集まってくるのは、企業活動の結果としての数字なんですね。会社の状況をリアルに知ることができる、唯一のデータと言っても過言ではないのです。
そもそも、この数字を押さえていなければ、目標設定も年次計画も“絵に描いた餅”になってしまうでしょう。経理は申告のためにあるのではなく、会社の成長や、計画の達成度合いを測るための「目標管理」のツールであると考えれば、決して「お荷物」などではないことがわかるはず。そういうふうに前向きに活用するという発想を、ぜひ持って欲しいと思うのです。
中小・零細企業の場合は特に、会社の業績が社長個人の収支に直結します。家族のライフプランを実現するためにも、しっかりした事業計画を持つべきでしょう。
計画は、「理念」「具体的な目標」「キャッシュフロー」がポイントになる
次に、さきほども言った「具体的な目標」の立案です。理念に沿って、事業ドメイン(領域)、ターゲットなどを明確化し、その上で例えば5年後の「あるべき財産状況」を、具体的に考えてもらうのです。
忘れてならないのが、「資金繰り」=「キャッシュフロー」です。税引き後利益がそこそこいい数字だったとしても、借入金の返済やリースの支払いをすると手元にあまり残らないと、いうケースも珍しくありません。それではやはり厳しいですから、計画には必ずキャッシュフローの観点を盛り込んで、できるだけ改善していく方策を考える必要があるでしょう。
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- 事業の成長に寄与する「計画性」とは? どうやって具体化すればいいのか?
中野竜爾(税理士)
中野会計事務所 所長
平成元年に開業以来、経営者が持つ百人百様のニーズに対して、中小企業を数字の面からサポート。「予算管理」と「決算前の納税予測」を2本柱に、『未来志向』の経理を相場の税理士報酬にて提供し、お客様の発展に貢献することを使命としている。相続税も100件以上の申告実績あり。
URL:https://nakanotax.com/
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