事業を行っていれば誰しも気になるのが、税務調査です。税の申告に関してやましいところがなかったとしても、もし税務署の調査官がやってきたら、どう対応したらいいのか、そもそも何を調べられるのかがわからないのは、やはり不安です。今回は、企業の経営サポートに実績があり、多くの税務調査事例を持つ斎藤英一先生(税理士法人 斎藤会計事務所)に、調査に対する心構えをうかがいます。
「常日頃の準備」があれば税務調査は怖くない
2020/4/27
調査は「雑談」から始まる
もちろん、「狙い」をつけてやってくることもあります。税務署が見ているのは、申告書の数字の変化なんですよ。売上や利益だけではなくて、例えば原価率が期によって違いすぎるとか、経費が急に伸びたとか。統括というポジションにいる調査官がそういうのを見つけると、部下に「この会社に行って、調べてこい」ということになる。
お話ししてきたのは、同じ税務調査でも税務署が行う任意調査です。この場合は、申告書と同時に税務代理権限証書、要するに「今回の申告はこの税理士に依頼しました」という委任状を税務署に提出していれば、その税理士のところにまず連絡が行きます。そこで日程調整したうえで、調査には税理士も同席するのです。
ただし、いきなり来るケースが、まったくないわけではありません。特に「狙われ」やすいのが、現金商売をしている飲食業です。署員がお客様として夜飲みに行って、支払うお札にマークを付けておき、翌日開店準備でシャッターを開けた瞬間に「税務署ですけど、レジの中を見せてくれませんか?」と入ってくることも。目印のお札がそこにあるか、つまり勝手に「拝借」したりしていないか、確認するためです。
ちなみに、任意調査でも、調査自体を拒否することはできません。ただし、営業を邪魔してまで調査をするわけではないので、“後日”という日程調整は可能です。。基本的に、調査官には「質問検査権」が認められていて、これに答えないと罰則が科せられることもありますから、注意が必要です。
説明できる「証拠」を準備しておく
例えば、領収書。さきほど、経費では交際費と旅費がポイントだと言いましたけど、飲食の際には、必ず「誰と」というのを記入しておく。記入がない領収書は、税務署に全部否認されるかというと、そんなことはありません。でも、そういうところから「いいかげんな社長だな」という印象を持たれると、調査でどんどん「深追い」されたりもする。反対に、きちんと記入されていたら、すんなり「問題なし」で終わることもあるわけです。
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斎藤英一(税理士)
税理士法人斎藤会計事務所 代表税理士
開業して20年以上、むずかしい会計・税務を“わかりやすく簡潔に説明”することをモットーにしている。新規法人設立支援、医業経営、経営計画立案に強く、経験豊富なスタッフが様々な面から顧問先の経営をバックアップ。決算を組むことがゴールではなく、未来に向かってどう決算組むか、といった未来会計を指南。
URL:https://www.s-zj.com/
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