親が死んで相続になったから、申告を税理士に依頼。でも、その先生が相続に詳しくなかったら、多額な税金を無駄に支払う羽目になるかもしれません。ただそうはいっても、「いい税理士」選びは、素人にとって簡単なことではないのが現実です。税理士法人チェスターの荒巻善宏先生は、「何か疑問を感じたら、セカンドオピニオンを使うのもいいでしょう」と話します。
迷ったら、セカンドオピニオンという方法もある
2017/4/19
◆相続は、大半の税理士が未経験!?
前に、土地の評価額で、別の税理士さんと10億円単位の差ができた事例をご紹介いただきました。これは相続税に限った話ではありませんけど、税理士の選び方によって税金の支払い額に大きな違いの生じる可能性があることを、あらためて認識する必要がありそうです。
何度かお話ししたように、「経験の差」「蓄積されたノウハウの違い」は、いかんともしがたいわけです。こんな数字があります。国税庁と税理士会の統計情報を基にしたものなのですが、2014年には年間の相続税の申告件数が約5万6000件ありました。これに対して、登録税理士数は約7万5000人。単純計算で、1人当たり0.74件ということになります。
実際には、相続の案件は、それに強い事務所に集中します。逆の言い方をすると、日本の税理士のほとんどは、企業向けの法人税申告を専門としているんですね。つまり、年間に1件も相続税申告を行わない税理士さんが大多数ということが、このデータからもうかがえるのです。ちなみに申告件数は、相続税の基礎控除(※1)の引き下げの影響で、翌15年には一気に10万3000件に増えました。
実際には、相続の案件は、それに強い事務所に集中します。逆の言い方をすると、日本の税理士のほとんどは、企業向けの法人税申告を専門としているんですね。つまり、年間に1件も相続税申告を行わない税理士さんが大多数ということが、このデータからもうかがえるのです。ちなみに申告件数は、相続税の基礎控除(※1)の引き下げの影響で、翌15年には一気に10万3000件に増えました。
それだけ、相続未経験の先生が担当する「リスク」が高まったとも言えそうですね。
はっきり申し上げれば、相続税申告の経験のない税理士さんにそれを頼むのは、内科医に外科手術を委ねるようなものです。おっしゃるように、その「怖さ」は知っておく必要があると思います。
税金の裏には、相続人の心情がある
先生は、常日頃どんな心構えで、相続案件に向き合っていらっしゃるのでしょう?
テクニカルなサポートに万全を期すのはもちろんですけど、相続税の申告は単に税金計算だけではないんですね。その裏にある、目の前の相続人の心情まで読み取ってアドバイスするのが、本当のプロではないかと思うのです。そんな話は、時々スタッフともしています。
そういうのも、経験から導き出されたものなんですね。ただ、そんな先生を見つけるのは、なかなか大変です。税理士選びのコツは何でしょう?
難しい質問ですね(笑)。前にもお話ししたように、「うちには小規模宅地の特例(※2)は使えますか?」と聞いたら、その場で回答が出てこない先生は、少し専門性を疑ったほうがいいかもしれませんが。
依頼するほうも、ある程度の知識は身につけておく必要がありそうですね。
後はしっかり話を聞いてみて、「この先生なら信頼できる」と感じる税理士に頼むこと、という一般的な答えになってしまいます。依頼していいのかどうか迷ったら、他の税理士にも相談してみる「セカンドオピニオン」も有効でしょう。仮にずっとお世話になっている先生がいたとしても、わざわざその方に断る必要はありませんし、それを求めたことが知られる心配もありません。当事務所にも、そういうお客様はたくさんいらっしゃいます。
相続税で悩むということは、それだけ大きな財産が動くということですよね。悔いのない相続のためにも、「使えるものは使う」姿勢が大事だと感じます。
依頼するほうも、ある程度の知識は身につけておく必要がありそうですね。
後はしっかり話を聞いてみて、「この先生なら信頼できる」と感じる税理士に頼むこと、という一般的な答えになってしまいます。依頼していいのかどうか迷ったら、他の税理士にも相談してみる「セカンドオピニオン」も有効でしょう。仮にずっとお世話になっている先生がいたとしても、わざわざその方に断る必要はありませんし、それを求めたことが知られる心配もありません。当事務所にも、そういうお客様はたくさんいらっしゃいます。
相続税で悩むということは、それだけ大きな財産が動くということですよね。悔いのない相続のためにも、「使えるものは使う」姿勢が大事だと感じます。
※1 相続税の基礎控除額
課税のボーダーラインとなる遺産総額。2015年1月1日から約4割引き下げられた。
※2 小規模宅地の特例
相続人が親と同居しているなどの要件を満たした時に、不動産の相続税上の評価額を削減できる特例。
課税のボーダーラインとなる遺産総額。2015年1月1日から約4割引き下げられた。
※2 小規模宅地の特例
相続人が親と同居しているなどの要件を満たした時に、不動産の相続税上の評価額を削減できる特例。
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